人生の最期をどこで過ごしたいですか?

2020年に日本財団が人生の最期をどのような場所で迎えたいかという調査を行いました。

あなたは、死期が迫っているとわかった時に人生の最後をどこで迎えたいですかという質問に対し、自宅と答えた人が約60%、病院と答えた人が約30%という結果でした。

厚生労働省の人口動態統計(2018年)のデータをみてみると、亡くなった場所が『自宅』だった人の割合は全国平均で13.7%、兵庫県では16.7%でした。

都道府県別でみると兵庫県は全国で5番目に高い割合です。2020年の調査では自宅で最期を迎えたい人が全体の60%であったことを考えると、自分が自宅で最期を迎えたいと希望してもその希望通りに行かないことも多いのではないかと予想されます。

人生の最期の場所として、『自宅』を選んだ理由は“自分らしくいられる”、“住み慣れた落ち着ける場所である”ということがあげられていました。

“自分らしくいる”ために自宅での生活を望んでも実際には自宅で最期を迎えられない人が多い理由は何でしょう?

家族に負担をかけたくないという意見や、自宅で最期を迎えるために何をしたらよいかわからない、医師や看護師が常にいる病院のほうがやっぱり安心だ、など様々な理由が考えられます。

家族への負担という点では訪問診療だけでなく、訪問看護や訪問介護スタッフが連携してサポートすることにより軽減することは可能です。これらのスタッフのサポートによりご家族のいない一人暮らしの患者さんが自宅で最期まで過ごすということもあります。

一人でいる時間が長くて不安が強いということであれば、状態に応じて、訪問診療や訪問看護の回数を増やすこともできます。また、自宅療養をしてみて最期はやっぱり緩和ケア病棟のある病院で過ごしたいと考えた場合は、方針はいつでも変更可能であり、ご希望に応じて病院への紹介も致します。

一方で、同じ調査で最期を迎える場所を考える際に重要だと思うことはなんですか、という質問に対しては“体や心の苦痛なく過ごせること”という意見が最も多かったようです。

自宅で体と心の苦痛を取り除く緩和ケアが可能なのかという不安もあるかもしれませんが訪問診療では病院で行うのと同等の緩和ケアを行うことができます。訪問診療だから十分な緩和ケアがうけられないということはありません。

例えば末期がんによる、体の痛みや息苦しさに対してモルヒネを使用してその症状を軽減していきます。内服ができなくなった患者さんには貼り薬や注射も使用できます。

よつば診療所東灘では訪問診療を行っており、患者さんの中には末期のがんなど、残された時間が限られている方もいらっしゃいます。患者さんが自分らしく生きていけるように最善の方法を一緒に考え、そのお手伝できたらと考えております。

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